お気楽読書日記:10月

作成 工藤龍大


10月

10月11日

「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」を見た。
ガンダム世代よりは一回り上のくせに、ガンダムに忠誠を誓っているものとして、この作品は嬉しい。
「ひとの革新」というファースト・ガンダムのテーマに正面から向き合っている。

原作者富野さんをはじめ、このテーマに直接向き合ったのは、「Zガンダム」までだったように思う。

難しいテーマに挑んだ水島精二監督+脚本黒田洋介に敬意を表したい。

「タブルO」の物語は、これで完全に完結した。
刹那・F・セイエイは、アムロ、シャーと並んでわたしのガンダム殿堂入りした!!

ところで、今月の読書記録は下記のとおり。
『自燈明』(玄有宗久)
『幕末入門』(中村彰彦)
『プロフェッショナルの仕事力』(岡島悦子編)
『ダーウィンのミミズ、フロイトの悪夢』(アダム・フィリップ)
『論語を読む』(井原隆一)
『残念な人の思考法』(山崎将志)
『なぜあの人はいつもやる気があるのか』(中谷彰宏)
『読心術』(多胡輝)

こうして眺めると、モチベーションの低下にどれほど自分が苦しんでいたか、よくわかる。

つきつめて考えると、「いやなことはしない」「したくないことは自分でしない」ということがモチベーションを高めるいちばん良い方法だと分かった。

道徳とか修身からは離れてみえるように思えるが、「己の欲するところをなせ」という哲学によって立たない限り、生きるすべを見つける方法はないということだ。

それが分かっただけ、読書は役に立ったと信じている。

さて、楽毅である。
先週で再読が終わった。

「人がみごとに生きる」難しさをかみしめている。
楽毅の覇業は、燕の昭王の庇護があってのものだった。
昭王が崩御すれば、大功労者であるだけに楽毅は危険な存在として、後継者に粛清される。

身の危険を感じた楽毅は人質同然の妻子を燕に残して、かつての敵国趙に亡命する。
いちどは楽毅の活躍で、超大国斉をほぼ手中にした燕王の後継者恵王は、楽毅の亡命直後に斉の占領地をすべて失う。

楽毅のみごとさがあらわれるのが、この時だった。
それは、偉大な軍人であるだけにとどまらず、楽毅が心ある中国・日本の人々から敬愛されるにいたった謎を解き明かす行為だ。 そのことについては次回に書くことにする。

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10月03日

しばらく仕事の参考書ばかり読んでいた。
読書日記に書く内容ではないので、更新するネタがない。
おかげで、しばらく読書日記をお休みしていた。

参考書の分野は広かった。
半導体関係が多かった。その次は、看護学。インドネシア語の入門・会話書も。

今週からようやく普通の本が読めた。
目下、宮城谷昌光の『楽毅』を再読している。

「人がみごとに生きることは、むずかしいものだな」
『楽毅』の冒頭だ。
この言葉をかみ締める出来事が身の回りで多くあった。
仕事の内容が変わったので、いままで知らなかったこと、知らずに済んでいたことが明らかになってきた。
中国戦国時代の名将、楽毅の生涯は前半が不運と苦難の連続だった。
小国、中山国の宰相の子であった楽毅のなすべき天命は祖国の存続。
ただし、運命は祖国を滅亡させ、楽毅は異国の食客となる。

楽毅が歴史に名を残す名将となるのは、それからだ。
北方の国、燕の将軍となった楽毅は超大国斉を滅亡寸前に追い込む。

史実を語れば、大偉業もそれだけのこと。
宮城谷さんの筆は、楽毅の覇業にとどまらず、その成長を描く。
小国の宰相の子であった楽毅が、天下を動かす大才となった道。
その道を小説家の目を通して、もう一度たどってみたいと考えている。
青年楽毅がつぶやいた冒頭の言葉を味わいなおすために。
そして、いま向き合っている壁を乗り越えたいと願っている。

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