お気楽読書日記:7月

作成 工藤龍大


7月

7月16日

しばらくここの更新ができなかった。
忙しかったということもあるが、それ以上に「躓きの石」に出会ったことが大きい。

それは、『不良牧師!「アーサー・ホーランド」という生き方』という本だった。

知る人ぞ、知る宣教師アーサー・ホーランド。
日本名は、「岡田正之」というハーフである。

新宿歌舞伎町で、辻説法する白いスーツの謎のおじさん。
十字架を背負って、日本と韓国を行脚した行動派宣教師。

どうしたら、このすごい行動力が出せるのか。
生きくれていた自分にとって、アーサー・ホーランドの活力がたまらない魅力だった。
その秘密を知りたいと思って、この本を読み出した。

ハーレーダビッドソンに乗って、タトゥーをして伝道する。
いいじゃないか。
やりたいようにやる。
すごく素敵に思えた。

ところで、世間はもう少し世知辛い。
物知りな人から、アーサー・ホーランドの親友について聞いた。

松沢秀章という牧師である。
この人については、『不良牧師!〜』でも親友として紹介されている。

重度のシンナー中毒から立ち直って、牧師になった人物だ。
かなり変わった人だが、人柄についてはアーサー・ホーランドは絶対の信頼を寄せていた。

ところが、その松沢牧師は異常な死をとげる。
ホテルの窓から人妻を投げ落とし、自分も投身自殺した。

不倫とも、覚醒剤常用とも週刊誌に書かれた。
所属していた教会からも、週刊誌の内容に添ったような形で謝罪文がwebで掲載された。
2006年のことだった。


わたしが読んだのは、2002年出版の文庫本だ。
時系列的にいえば、事件前に書かれた本の内容で、後年の事件を斟酌するのはおかしいとはわかっている。
ただ、ネット上で見た記事と、『不良牧師!〜』で受けた印象がどうにもつながらない。
はっきりいうと、ネットの記事は悪意に満ちていた。
だれも松沢牧師をかばおうという書き手は見当たらなかった。
臭いものに蓋をするという雰囲気だった。

アナクロニズムといわれようと、何かおかしい感じがした。
これには何かあるかもしれないと直感した。

そこで、仕事の合間を縫って、ネットと書籍を検索しつつ、事件を考える日々が始まった。

個人的には、どちらの牧師にも面識はないし、プロテスタント系キリスト教にも興味はない。
だが、この件はかんたんに片付けてはいけない気がした。

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