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■    ■                                      No.005  01/02/18    
■      ■          http://www32.ocn.ne.jp/~thkudo/   
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■        ■      ドラゴニア通信                                  
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■      ■          歴史と読書を楽しむサイト「ドラゴニア」更新情報
■    ■                                                (週刊)  
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==== Index ===================================================

01: 今週の更新情報
02: 先週のお薦め読書日記
03: 企画「21世紀に読み継ぎたい作家」(フロイト編)
03: 編集後記

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◆ 今週の更新情報

  リンクを張ったのが一件くらいか。(溜め息)

  でも先週の日曜日に出かけた邦楽教室の飲み会つながりで面白いペー
ジがどしどしみつかりました。
  押しかけてリンクのお願いをするつもりです。

  しかし、こういうことをやっているとつくづく世間って狭いなあと思
います。邦楽教室の主催者・菅原久仁義さんのホームページでアラビア
音楽の凄いページを見つけたのですが、これは「アラビア通信」という
別のホームページでみつけてチェックしておいたところです。
  とにかくこんなにアラビア音楽に詳しい人が他にいるかという凄いペ
ージです。

  ところがです。家人は知っておりました、その人たちを。
  アラビア音楽演奏者の女性トリオのその人たちは、尺八奏者・菅原久
仁義氏のお仲間だったんですね。とんと気がつきませんでした。

  うちの家人はお琴をやっていて、菅原氏の奥さんの泉山章子という人
についています。
  このご夫婦は、あんまり有名ではないけれど、すごい実力者ですよ。
  家人に連れられて、有名邦楽家たちの演奏会に引っ張りまわされたけ
れど、菅原氏よりも上の演奏者はいなかったし、泉山さんよりもテクが
上の琴演奏者もいないように思います。

  だんだん上の人が死んでいっているから、きっとそのうち大きく飛躍
するんじゃないでしょうか、このご夫婦は。

  邦楽の世界って、とんでもないアナクロリズムがまかり通っていて、
実力があっても「寝技を使えない人」はなかなか難しいようです。

  ひどい話だけど、人間が死ぬってことも悪くないのかもしれません。
  あわわわ、エラいこと言っちゃった。(笑)
                                            (了)

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◆ 先週のお薦め読書日記

  今週は……です。
  ほとんど三行日記の世界に突入しています。
  もっと気の効いたことでも書いていればびりっとしたんですが。
  まあ過ぎたことは仕方ない。
  「バンタ・レイ(万物は流転す)」とも申します。

  次の週で巻き返しを期す「予定」であります。
  しつこいようだけど、あくまでも「予定」なんだな、これが。(笑)

  ところで、残念ながら体力切れで続編を書いていない「鑑真和上が
日本の恩人である理由」。
  かなり力を入れて書くつもりだっただけに残念でした。
  詳しいことは、やがて書く完結編に譲るけれど、鑑真和上はほんとに
日本人の恩人だと思います。

  鑑真和上展に出かけたきっかけは、電車の車内広告でした。
  和上の横顔を写している展覧会のボスターです。
  なにげなく見ているうちに、どうしても鑑真和上の像が見たくなりま
した。
  いつもの癖で、なぜそんな気持ちになったのか考えてみたのです。
  その答えが「鑑真和上・恩人説」です。

  日本テレビかTBSで俳優中村嘉津雄がナビゲートする鑑真和上のド
キュメンタリー番組がありました。
  どういうわけか、関口宏が解説みたいなことをやっていました。
 でも、中身はあれです。ぬあーんもなし。
「豆腐」や「漢方薬」を日本へもたらした文化使節みたいな描き方をし
ていました。眼をつぶしてまで、豆腐を日本に持ってきてくれたから
「鑑真和上は偉い」とは!(絶句)
  そりゃあない。
  物だけにとらわれたドキュメンタリーでした。

  中村嘉津雄氏の熱い感動が関口宏の(まぬけな)語り口で一瞬消えそ
うになりましたよ。「豆腐」や「漢方薬」じゃないだろう、大切なのは。
  そういう点はお粗末の一言でした。

  でも、中村嘉津雄氏が鑑真和上の遭難場所を無言で見つめたり、中国
のお寺で和上の像と対面する姿は美しかった。
  嘉津雄氏の涙がね……きれいだったんですよ。

  話は飛びますが、わたしは隆慶一郎の「一夢庵風流記」が大好きなん
です。なかでもいちばん好きな場面は前田慶次郎が親友と無言で酒を酌
み交わすところ。慶次郎はこれから死地におもむく。友は別れを告げに
来たのです。
  ふたりは一言も言葉を発せずに、魂で対話していた。男はかくありた
い。こういう芸当ができる男は良い。
  中村嘉津雄氏は鑑真和上と魂で対話していたんじゃないでしょうか。

  内容はなんもない番組だけど、中村嘉津雄氏を見ているだけで値打ち
があった。
  人間性ですね、ものを見る力の根源は。
  ものを見ることは、人間を見ることなんですね。
  そして、見るとは愛すること。
  それが分かってない創作物は、顧る価値なし!

  あんまり長くなりそうだから、たぶん明日アップ(できたらいいな)
する予定の完結編をお楽しみに。
  ……ほんと、こう更新が遅れると気弱になっていけませんね。
                                            (了)

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◆ 企画「21世紀に読み継ぎたい作家」(補足)

  先週マニアックに好きな人ばかりを書くと宣言したら、さっそく心配
してくれるメールをもらいました。
  そんな肩のこる難しい人ばっかりじゃ、読む人がいなくなるんじゃな
いのって。
  たしかにそういう心配はある!

  でも、わたしが書いているものが読めている人は、そーとー頭脳優秀
だと思います。そういう人じゃないと、最初のページを読んだだけで脳
死状態になって失神するそうです。(笑)

  冗談じゃなくて、そういうメールを貰ったことがあります。笑えませ
んわね、ホームページ作者としては。

  でも、いきなりボンっと名前だけで肩が凝りそうな人を出すようなこ
とはしません。
  名前は知っているけれど、読む気にはならないという人をまな板の上
にのっけて美味しく料理するのが狙いです。

  だから、ギョっとするような人を取り上げても、いきなりメールを閉
じないようお願いします。(笑)

  けっこう素敵な人たちなんですよ、みんな。

 さて、前回の続きで、フロイトの魅力について書かせてもらいます。
  いろいろ能書きはあるのですが、そんなことをやっているとたちまち
脳死者が出るかもしれない。
  単刀直入にいきましょう。

  フロイトの作家としての出発点は、かの有名な「夢判断」です。
  新潮文庫で手軽に買えるあれです。

  フロイトを読んで挫折するパターンは、たぶんこうじゃないでしょうか。
  いきなり「精神分析入門」を読む。どっかで聞いた用語がたくさん出
てくるので、物知りになったような気がするけどたちまち退屈する。
  この時期に「精神分析なんて駄目だ」という精神医学者書いた新書な
んかを読む。
(あっ、そーなんだ)
と、思ってフロイトは卒業。それっきり読まなくなる。
  普通こういうのは挫折とはいわない?

  でもね、あとで心理学に興味があるその人はジャック・ラカンなんぞ
を開く。すると、どういうわけかフロイトの著作を縦横に紐解いて難し
そうなことを書いている。
  このときですね。「ああ、ワタシはフロイトに挫折したんだあ」と悟
るのは。
  これがジャック・ラカンじゃなく、哲学者ジル・ドゥルーズだったり
する場合もあるという報告もあります。(だれが言ったんだ?)

  これはたぶんフロイト入門の最悪のパターンでしょう。
  最初に読んだ本が悪かったんですね。フロイトは理論家としては最悪
の部類に属します。理路整然と体系を作れない人なんです。
  いま私たちがフロイトの理論として知っているものは、弟子たちが整
理したものなんです。
  フロイトに注目する人はそういう部分には興味がない。
  星雲状態の混沌としたテキストから、いろんなものをくみ出している
んです。

  フロイトの値打ちは、心理洞察能力にあります。弟子のユングはそれ
が弱かった。ユングは幻視能力のある人だったからエソテリックなカル
ト的な体系を作ってしまう欠点(長所?)がありました。でも、フロイ
トのような心理洞察力はなかったのです。

  そういう方面での作家フロイトのナンバー1は「夢判断」です。
  あに、長すぎる?
  困ったなあ。
  いや、これは冗談。

  短いけれど、いいのがあるんですよ。
  それは「症例研究」と呼ばれる一群の論文です。数はそんなに多くな
いんですよ。
  いちばん読みやすいのは「ヒステリー研究」ですかね。
  人文書院の「フロイト著作集7巻」に入っています。
  これを読むと、フロイトがミステリー作家に思えてきます。

  ただ「ヒステリー研究」は作家フロイトの習作でしかないのも事実。
  そこでお薦めなのが、次のふたつ。
「あるヒステリー患者の分析の断片」(著作集5巻)
「ある五歳男児の恐怖症分析」(同上)

もうすこし難しいけれど、もっと面白いのは次のふたつ。
「脅迫神経症の一症例に関する考察」(著作集9巻)
「ある幼児期神経症の病歴」(同上)
「自伝的に記述されたパラノイア(妄想性痴呆)の一症例に関する精神
分析的考察」(同上)

  これは有名なフロイトの五人の患者の症例です。患者はプライバシー
保護のためあだ名で呼ばれています。
  上から順番に、「少女ドーラ」「少年ハンス」「ねずみ男」「狼男」。
最後の一人は有名人だったので実名です。「シュレーバー」といいます。

  図書館でみつけたら、読んでみるといいかもしれません。
  小難しそうな術語を我慢して読み進めていくうちに、とんでもなく愉
快な話が出てきて退屈しません。
  近親相姦、(男女)同性愛、自慰行為、マゾヒズム……。
  人間性について理解が深まることうけあいです。(笑)

  でも、もっと面白いのが「夢判断」です。
  これについては、稿を改めて書いたほうが良さそうですね。
  もう一回、書かせてもらうことにします。

                                            (この稿続く)

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◆ 編集後記:

  書き始めてすぐ気づいて、先週の編集後記を見たら大笑い。
 ほとんど同じことを書くところでした。

(ウィークデイはがんばって更新し続けた読書日記。週末に突入したと
たんに更新が切れました)。
――って、そのまんまじゃないか。(恥)

  こんな調子ですけど、よろしくお願いします。

  ところで、日中はわが「ドラゴニア」の名物掲示板「よい書ッ!こら
っ書」に雑談モードでなんか書いています。
  疲れ休めの雑談なんです。ほんとに。

  暇があったら、見てやってください。
  雑談につきあってくれたら、もっと嬉しかったりします。(#^_^#;

  では、また来週。

            工藤龍大

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ドラゴニア通信:  歴史文学と鉄人的読書日記のサイト「ドラゴニア」
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