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■    ■                                      No.016  01/05/27    
■      ■          http://www32.ocn.ne.jp/~thkudo/   
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■        ■      ドラゴニア通信                                  
■        ■                                                      
■      ■          歴史と読書を楽しむサイト「ドラゴニア」更新情報
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==== Index ===================================================

01: 先週のお薦め読書日記
02: 企画「21世紀に読み継ぎたい作家」(フロイト編9)
03: 編集後記

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◆ 先週のお薦め読書日記

  先週は二回しか読書日記を更新していません。
 それでお薦めというのも気がひけるのですが……。

    「三社祭りの不思議体験」
    http://www32.ocn.ne.jp/~thkudo/page/dy/d25.htm#19

  浅草三社祭りで、ちょっと奇妙な体験をしました。
  少しだけ神様の気分を味わったとでもいいましょうか。
  詳しい話は読書日記でどうぞ。

    「日本の中の黄金文化」
    http://www32.ocn.ne.jp/~thkudo/page/dy/d25.htm#21

  タイトルはおおげさですが、本人はしごく真面目です。
  谷崎潤一郎の「陰影礼賛」は、日本独自の黄金文化の存在を教えてく
れました。それはなんと紙の上にあったのです。

                                            (了)
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◆ 企画「21世紀に読み継ぎたい作家」(フロイト編 9)

  しばらく休載していたこのコラムを、また再開します。
  少し考えがまとまってきたので、考えながら書かせてもらいます。

  無名時代のフロイトの唯一人の親友だったヴィルヘルム・フリースに
ついて、これまでかなりのスペースを割いてきました。
  なぜ一介のユダヤ人開業医にこれほど拘るのか。
  そういう疑問が当然湧いたことだろうと思います。

  あまりにも当然なこの疑問に対して、これから書いてゆくことが回答
となるはずです。

  その本題に入る前に、フロイトの高弟のひとりをもう一人紹介したい
と思います。
  それは、シャーンドル・フェレンツィというハンガリー人の精神科医
です。
  今では専門家にしか名前が知られていないのですが、フロイト以後
の(精神分析的)心理療法の発展に貢献した人です。
  フロイトの没後、精神分析を理論的に推し進めたのは、孫弟子にあた
る一群の女性精神分析家でした。
  フロイトの娘、アンナ・フロイトはフロイト自身に指導を受けて、精
神分析の主流と自他ともに認められる存在でしたが、今日的な意味でも
通用しているとは言い難い面があります。
  むしろフロイト本人ではなく、その高弟たちに指導を受けた女性精神
分析家のほうが心理療法の発展においては功績が高いといわざるをえな
い。

  フリースにちなんで以前紹介したベルリンの精神分析家カール・アブ
ラハムや、このフェレンツィが指導した女性たちこそが、現代の精神分
析的心理療法の元祖といっていいでしょう。

  とくにフェレンツィが始めた心理療法は、のちにメラニー・クライン
という女性の手で「対象関係論」としてイギリスで大発展します。

  フェレンツィという人は暖かい人柄で、フロイトにとっては最晩年ま
で良い相談相手でもありました。ただフェレンツィが考案した独自の技
法をめぐって、フロイトと深刻な対立が生じたことと、折悪しくその頃
に病に倒れて急逝してしまったことで、フロイト寄りの精神分析家から
は評判が良くない。

  しかも相弟子たちの誹謗中傷が好きなジョーンズという人が書いたフ
ロイトの伝記で発狂して死んだと書かれたために、哀れな造反者としか
記憶されてこなかった。
  どうやら発狂説は、死の床で高熱のために朦朧状態となっていた事実
をジョーンズが誇張しただけのようです。

  こうした最後の時期を除けば、フロイトとの関係は概ね良好でした。
フロイトは自分の弟子たちを軽くみる悪い癖があるので、プライドが高
い連中はアドラーやユンクみたいに決別せざるをえないのです。
  そうでないのは、人柄がきわめて良い温厚な人物です。
  カール・アブラハムは非常に理論的かつ理科系な人だったので、思い
つきでものをいうタイプのフロイトからは一目置かれていました。

  その点、人懐っこいフェレンツィなどは「坊や」なみの扱いです。
  頭脳の面では決してそんな人じゃないのですが……。
 外交的性格のフロイトには内省的なタイプが理解できないのですね。
外交的な直感力に長けているだけに、内向的な直感力があるタイプはま
るで見当がとれない。

  ただその分、気安かったせいでしょうか。
  晩年、フロイトがガンを発症するまでバカンスにはよく二人で外国旅
行に行っていました。フロイトはイタリアがお気に入りだったので、行
く先はもっぱらイタリアか今はユーゴに含まれるトリエステ。

  ドイツ語文化圏の人(ユダヤ人も含む)は、どうやらゲーテの頃から
イタリア好きだったようです。

  その旅行中に、フロイトは妙なことを口にした。
  フェレンツィには、フロイトの言葉がどうにも気になったらしく、会
話の内容を書き残しています。

  それについては、来週書くことにします。
                                      (この稿続く)

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◆ 編集後記:

  今週も時間がとれなくて、読書日記が書けませんでした。
  掲示板で日記を書く手も、とれないくらい忙しかったのだから仕方あ
りません。できる範囲でぼちぼちと続けるつもりです。

  週末も、本を整理したり、マシンのインストールなんかで時間が取ら
れてしまって読書も難しい。ついでに床屋にも行ってきたし……(笑)

  今週は、なんとか時間を作ってばりばり書きたいものです。
  書きたいことがうんと溜まっているんです。

  それと今週中にハリー・ポッターの三巻目を読みあげる予定です。
  もう翻訳も出ることですし。

  来週はぼやき抜きのメルマガにしたい――いま、考えるのはそれだけ
だったりします。 (^_^;

            工藤龍大

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